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2018年11月19日月曜日

書籍「ドラゴンクエストXを支える技術」を読み終わって


ふぅ…ようやく読み終わりました。というわけで章ごとの感想と総評みたいなものをつらつらと書いていきたいと思います。

第1章 ドラゴンクエストXとは何か

この辺はDQXやってる人には不要な章ですね。とはいえ開発前夜の話も少しあったりするので楽しめるとは思います。

第2章 開発・運営体制

DQX開発チームや、スクエニ社内の関連スタッフなどの話なのでこの辺も面白いですね。第1章と第2章は青山さんもおっしゃってましたがDQXプレイヤーなら誰でも楽しめる程度の内容だと思います。

個人的な思い出ですが、SFC版DQ5の頃(スクウェアと合併前のエニックスの頃ですね)エニックスの社内では通常の営業や広報などと別に、ドラクエ関係だけは「ドラクエスタッフ」という名称で別部署で動いてました。ドル箱タイトルですし社内でもエリート意識があったのだと思いますが私が接した事がある、当時のドラクエスタッフ(主に宣伝・広報)は物凄くエリート意識高くて嫌な人でした(笑)えっらそうに某ゲームについて「もっとこうした方が良いよー(ワラ)」みたいな講釈を垂れてくれましたし。

一方、通常のエニックスの方々は逆に良い方が多かった思い出があります。その頃を思い出すと、時代も変わったんだなぁとつくづく思います(笑)

第3章 アーキテクチャ

コンピュータの基礎知識に始まり、DQXの開発上の構成、プログラム言語など、ここから知識の有無で難読性が変わります。とはいえここをしっかり読んでおくと(解らないながらも)以降の章の説明への理解度が変わります。

個人的にはゼッパチことZ80のアセンブラが出てきて面白かったです(笑)個人的にアセンブラに接した経験がファミコンのCPU(6502)と、当時所有していたパソコン、FM-77AVのCPU(6809)くらいしか無いのですが、その頃を思い出して少しニヤッとしました。

第4章 開発と検証

この辺は現在のDQXの開発・運営体制の話になるのですが、正直最近の現場を知らないのでこの辺は参考になったのと同時に、この辺は知らない人だとちょっとイメージしにくい内容じゃないかなと思います。

第5章 メモリ管理

多分、コンピュータに明るくない人だと一番誤解が多いあたりの内容じゃないかなと。第3章で語られていた「メモリ」と「ストレージ」をごっちゃにしてる人が多いのが一番の原因でもあるんですが、意外とメモリは余裕がないというのが少し解るんじゃないかなと。

個人的にはもうちょっとつっこんだ話があるかなと期待していたので少し残念だった章でもありました。

第6章 ゲームクライアントグラフィックス

第3章以降では、この章が技術的なお話の中では一番解りやすく、かつ一番興味深い章ではないかと思います。多くの人が思ってるドレアやメイクアップ、さらに風景などといった見た目に関する部分の説明が多いからです。

図版も多めだし、この章だけでも読む価値はあるとは思いますね。

個人的に一番おもしろかったのは「室内グラフィックリソースの動的読み込み」のあたりですね。これは気がついて無かった。

第7章 ゲームサーバプロセス

全体通じて一番抽象的だった印象の章。とはいえここの内容は運用ノウハウに直結する部分でもあるしあまり具体的に書けないのかなと推測。

あと、さらっとスケールアウトだのって用語が出てきますが、このへんは過去に話題にしたので参考にして頂けると嬉しいです。
過去記事:「よーすぴ」から「青山さぁぁぁん」へ…プロデューサー交代のもう一つの目的

第8章 キャラクター移動

主に相撲こと移動干渉に関するお話ですが、相撲はDQX最大の特徴だと思ってるのでこの辺は実に面白かったですね。特に通常移動と移動干渉と接触状態かどうかで切り替えてる話とかは面白かったです。

第9章 ゲームDB

読む前は一番理解が難しいのかなと思ってたらそうでも無かった章。まぁ詳細書いてないからだと思いますが(笑)とはいえこのへんはデータベースの知識とか必要としてくるので全くちんぷんかんぷんって人も出てくる内容ですね。

個人的にはKVS(Kyoto Tycoon)使ってるの知らなかったのと、それに伴ってデータを保存するのを色々使い分けてたのが面白かったですね。長年疑問だった「屋根裏倉庫」は預かり所から利用出来るのに、「収納家具」が利用できない理由とか解ったのも面白かったです。

それにしても、Exadata X4の「次」って考えてんのかな?本読むとこのままサービス終了まで変えないで行くんじゃないかって空気も感じるんだけど…

第10章 ゲーム連動サービス

超便利ツールなど、一見簡単なように見えてかなり面倒な事をやってるというのが解りやすくなったのは良いことじゃないかなと思います(簡単に出来るのに出し惜しみしてるみたいな印象持ってる人が少なくないので)

個人的には第7章の内容とセットで、どこでもチャットで現在利用出来ない白チャットや緑チャットが実現してない理由は理解出来ました。理解はしますがやっぱり対応はして欲しいですね。

というのも、Switch版でケータイモードやテーブルモードで遊ぶ人の多くがSwitchの画面に出るソフトウェアキーボードを使うケースが多いようで、Switch=チャット出来ない(面倒、難しい、キーボードのようにすばやく出来ない)というイメージがあるので、スマホ経由で会話出来るとそのへんがかなり改善されるんじゃないかなと。

あと最近の若い人はキーボードは慣れて無くてスマホだとすばやく打てるって人も多いので、なおさらスマホで会話出来るようになって欲しいなと言う思いはありますね。

そういえばWindowsサーバーが長期間稼働してると挙動不審になる事への対策が、定期的に再起動するって書いてたのは笑った(笑)ほんとそういう部分での信頼性低いよね、Windowsサーバー(笑)

第11章 運営と運用

この辺はもうちょっとつっこんで書いてほしかったな、とい思いもあるけど…多分ノウハウに直結するから書けない部分多いんだろうなぁとも思った。

第12章 不正行為との闘い

ここも第11章同様、具体的なノウハウに直結(不正行為に対しては対策立てられないように)だから詳しく書けないんだろうなぁというのは理解出来るんだが、せめてスレイプニル事件以外の具体例も(古くて良いから)欲しかったなぁ。

昨今話題のeスポーツというモノに関して、それらの運営を考えていたグループが実はDQXのRMTで資金を稼いでいたという騒動が2年ほど前にありました。
参考記事:「マジカルストーン」運営、批判受け「RMT事業」からの撤退を宣言 第一段階としてまず「ドラクエ10」から - ねとらぼ

この辺はDQX運営の伺い知らないところでの騒動だったとは記憶してますが、全く情報が無いとも思えませんし、こういう事例に関する話とかでもあったら良かったんじゃないかなーと思わなくはないですね。

総評

さて、長々と書いてきましたが読み終わっての評価は、読む前に書いたのと全く同じ(笑)で…

  • 簡単なの?→簡単ではないです。
  • で、買いなの?→買いです。

ってところです(笑)

正直、この本は読み物なのか、技術書なのか、どっちかと聞かれると俺的には「読み物」だと思います。技術書というには具体性が無いです。とはいえただの読み物というには技術的な知識が必要とされるので簡単とは言い難いです。
(読むに当たって最低限必要な知識は読んでいるとある程度説明はされています)

ただ、その説明すらさらに基礎的な知識が無いと理解もままならず、解らない!って人も出てくると思います。

それでもなお、これを読むと今よりDQXに対しての理解度が深まると思います。

特に、よく聞かれる意見にある「もっとドレスアップの自由度が欲しい」って話もそんな簡単なものじゃないというのが解ると思います。これは私個人の読んだ上での感想ですが、今後Wii Uを切ったとしても、同時に風に揺れる部位は2ヶ所から増えないと思います。
(この辺は最初に設計してる仕様から大幅に変えるのが大変である上に、優先度がそんなに高くないと思えるからです)

この辺の読みが当たってるかどうか、という部分についても議論する上での知識のベースになるというだけでもこの本の存在価値はあると俺は思います。



なので未購入の方は是非買って読みましょう(笑)

青山さんは今後、DQXTVで技術的な話をするときはこの本のページを指定してから解説してくれたりすると嬉しいなぁ(笑)

DQXの(技術的な話をするときの)教科書、みたいなポジションということで(笑)


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