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2019年8月6日火曜日

映画ドラクエ観てきました(ネタバレあり)


ネタバレ有りかネタバレ無しか…どっちで行こうか迷ってましたが、この映画を語るにあたっては無しでは成立しないと思ってあえてネタバレ有りで行きたいと思います。

なのでネタバレを避けたい、これから見に行く、などなどの方は続きを読まずに閉じて下さい。




まず、自分の論評書かずに人様のものを使わせてもらって申し訳ないのですが…この映画の論評の中で、俺が一番「適切だ」と思ってる記事をご紹介します。


こちらは北米のゲームメディアIGNの日本版、IGN JAPANに掲載された記事です。ネタバレしても構わないという方、もしくは既に観た方は先にこちらをお読み下さい。

この記事の表題には「ふかい愛」と書いています。副題には「深い愛はすれ違い、不快な愛情となった」とあります。「ふかい」は「深い」でもあり「不快」でもあるわけです。
おそらくこの作品は、制作陣からゲーマーに対する強い愛が存在している。ただ、その愛が受け入れられなかっただけなのだ。
この記事は冒頭に全てが集約されている。記事としてもとても素晴らしいと思う。一部に制作側の愛が足りないという声もあるが、俺は強い愛は感じました…ただズレてるだけで。

この映画を多くの人は「DQ5の映画」だと思ってたし、そう思って観ていた。違うと知ってて観に行った俺ですら最後の最後、あの展開まで「これDQ5の映画だよな」と錯覚するほどだった。

映画の短い時間にDQ5の大河ドラマを詰め込むのは確かに容易ではない。なのでダイジェスト気味になるのは仕方ないが正直俺は上手くまとまってると思った。省略するものは省略し、変えるところは変えつつも、非常に上手くまとまっていた。

これは多くの観客もそうだったと思う。それ故にあの展開は呆気に取られたと思う。

感情移入し、自分の思い出とシンクロし、フィードバックした気持ちに浸ってたところに冷水をぶっかけられたのだ。

この映画のような手法を「メタフィクション」と言う。正直ありきたりで使い古された手法だ。表現したものが最新のVRってだけで手法としては何も新しくもない。

そして何より、そんな事を事前には全く意識させず、いやむしろ映画冒頭でSFC版の画面を出したりしつつ映画本編に移行していった分、ある意味たちが悪い。リアルからフィクションに観客の意識をダイブさせといて期待を裏切るかのようにメタフィクションに持っていったのだ。

確かに本編で、後半も後半になってそれを匂わす発言はある。「今回は」というセリフだ。多分その時点でそのセリフは「気付き」ではなく「喉に刺さる小骨」のような引っ掛かりになるだけだった。

そしてまた「今回は」という発言のしばらく後、突然のVR宣言。

VRネタだと知ってて観に行った俺ですら「何をええところで邪魔しくさっとんじゃワレ」という気分になった。知らない人だと違和感はもっと酷かっただろう。

おまけに持ち出す発言は古臭い価値観。古くからのプロレスファンだと「私、プロレスの味方です」という本をご存知かもしれないですが…あれを見たときと同じ不快感がしました。

で、だ。それに対する主人公が熱くドラクエ愛を語るわけですが…かつてSFCでDQ5を遊んだ思い出などを思い返しながら、ドラクエ愛を熱く強く語る主人公は、VRをセットするときにキラーマシンを「ロボット」と呼んでたのです。

どこの世界にキラーマシンをロボット呼ばわりするドラクエ愛があるんだよバカかよと。

そういういろんなほころびがこの頃には全て「喉に刺さる小骨」に全て変化していきます。DQ5じゃない楽曲使ってたなーとか、もうひとつひとつの違和感がチクチクと。

とどめは、そのVRを倒し、元のゲームの世界を取り戻し、エンディングに向かったあと…そこに無い「Fin」の文字。

ドラゴンクエストのお話の終わりは必ず「Fin」です。※ その3文字を見る事で冒険者達は旅の終わりを感じるんです。そう、せめてこの映画がドラゴンクエストであって欲しいという願いすら最後の最後で満たされないのです。
※追記:歴代シリーズ調べたら殆どがThe Endで、10と11がFinでした。申し訳ありません。ただ5もThe Endなのでやはりその文字は無いのは同じです。

その話をしたフレさんは、VRオチの時点でショックすぎてそれすら気付かなかったとおっしゃってましたけどね(笑)

前述の記事はこう締めくくらえています。
本作の制作陣からゲーマーに送られたラブコールはとても愛情深く、同時に極めて不愉快で愚かに感じられる。もはやこの作品そのものが「制作陣とゲーマーのすれ違いラブストーリー」なのである。
まさにその通りです。そしてそのすれ違いの大きさが全て不満の声に現れてます…まぁ自称ゲーマーのサイコパス野郎さんは絶賛してましたっけ?そりゃ「他人に無関心」なサイコパスな訳ですよ。

別にメタフィクションであっても良かったと思うんですけど、YOUR STORY(貴方の物語)と言いながら、(キラーマシンをロボットと呼ぶ)どこかの誰かの物語を見せられたらねぇ…ドラクエでもない、YOUR STORYでもない、ズレた誰かさんの話なんか誰が見たいんだっつーの。

そのズレが「カレー味のオムライス」なわけです。


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